【怪談祭り2023】みなさんからの投稿~桃とおばあちゃん~(8月2日)[No.024]
桃とおばあちゃん
投稿者:小百合さん
投稿日:8月1日(火)
レオ様こんにちは。その節は掲載有難うございました。
今回は2年前の夏の話です。
毎年8月になると、近所のお宅から美味しい桃を頂いています。
そのお宅の親戚が農家で桃を栽培してるので夏になると山梨から桃が送られてきて、おすそわけで10個ほどの桃を頂いています。
桃を持ってきてくれるのは、そのお宅のおばあちゃんでした。気さくで明るい方で道ですれ違えば立ち話をする間柄でした。
2年前の8月のことです。
いつものように桃をわけて頂いたのですが、2年前は「今年は最高の出来具合よ。」と言って紙の手提げ袋いっぱいの桃を持ってきて頂きました。30個ほど入っていました。
いつも玄関で立ち話をしておかえりになってたんですが、2年前は「今日は時間ないのよ、ごめんね。ほかにも配るところあるから帰るわね。本当にありがとね。」と言って足早におかえりになりました。
うちでは食べきれないほど頂いたし、桃は傷みやすいですからね。10個はうちに、残りはおすそわけすることにしました。
桃を頂いた日に夕食後のデザートとして家族で頂きました。
おばあちゃんが言っていた通り、いままでで一番美味しい甘い桃でした。
そして、息子を担当している事務所のマネージャーさんに5個お渡ししました。(息子は俳優やってます。)
残りはわたしの友人2人におすそわけしました。
マネージャーさんも友人たちも「こんなに美味しい桃は食べたことない」と言うくらい、ホントに美味しい桃だったんです。
それから1か月後のことでした。
買い物の帰り道、桃を頂いたお宅の奥さんに会いました。
「近頃おばあちゃん見かけないけど元気ですか?頂いた桃、ホント美味しくて家族も喜んでました。いつも有難うございます。」こんなことを話したと思います。
そしたら、奥さんビックリした様子で「うちのばあちゃん、先月に亡くなったんです。コロナ禍だから身内だけの家族葬で見送って…」と。
おばあちゃんは桃を持ってきてくれた日よりも少し前にお亡くなりになってたんです。
桃はわたしも家族も頂いたし、友人も息子のマネージャーさんも美味しいと言っていたことを話すと奥さんは疑う様子なくて「きっと、ばあちゃんは最後のご挨拶にうかがったんですね。亡くなる前に今年の桃はどうだろうねと気にしてたんですよ。」と話していました。
49日前におばあちゃんのお宅に弔問して、お線香をそなえて手を合わせ、おばあちゃんに感謝を伝えました。
おばあちゃんの笑顔や話し声を思いだして涙が止まらなかったんですけど、遺影を見てわたしはハッとしました。
遺影でおばあちゃんが着てる服は、桃を頂いた日に着てた服と同じだったんです。
遺影の写真はおばあちゃんが生前に用意していたそうで、一番気にいってた服で写真をとってもらったと奥さんは話してました。
一番好きな服でわたしに会いにきてくれたおばあちゃん。ずっと大好きです。
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(レオコメ)
前回は、メチャクチャ怖い怪談をご投稿いただきました。
今回は、ほっこりする素敵な心霊体験談ですネ~~
間違いなく、おばあちゃんは小百合さんに最後の挨拶に来たのだと思いますが、桃を実際に持ってきて、それを小百合さんやご家族も食べたとなると、霊体が持つ何らかの力が物質に作用することが可能であるという証なのだと思います。
桃は今が旬ですネっ!!
ボクもめっちゃ大好きですっ!!
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[この怪談は…ここまで……です…]