【怪談祭り2023】みなさんからの投稿~数年前に妻と訪れた奈良でのこと~(7月23日)[No.013]
数年前に妻と訪れた奈良でのこと
投稿者:たぬきさん
投稿日:7月21日(金)
人生で、たった一度だけ経験した「怪談のようなもの」を投稿させていただきます。
数年前に妻と訪れた奈良でのことです。
所用のため、そのホテルにチェックインしたときには、すでに夜も遅い時間になっていました。
部屋は赤黒い壁紙で、照明も暗く、陰気な感じでしたが、旅の疲れから2人とも早々にベッドにもぐり込んで寝てしまいました。
真夜中過ぎでしょうか…、暗い部屋の中でふと眼を覚ますと、どこかで「ザーザー」と水を流すような音がするのに気がついたのです。
妻がトイレに入っているのかと思いましたが、水音はいつまでも止まらず、「ザーザー、ザーザー」と更に大きくなりました。
それならシャワーでも浴びているのかと思ながらウツラウツラしていると、今度は、二つ並んだベッドの足元の方から、「ズッ、ズッ」と人が歩くような物音がして来ました。
私はそれも妻だと思って、大して気にもとめずにそのまま眠ってしまいました。
翌朝、明るい朝食のテーブルでその話をすると、驚いたことに、妻はトイレもシャワーも使っていない、それどころか、昨日の夜中は生まれて初めて金縛りにあって、声も出せずに苦しんでいた、というのです。
二人とも、いわゆる霊感などはなく、普段おかしな経験をしたことは一度もありません。
一人なら夢でも見たか寝ぼけていたか、と思うのですが、二人で同時に体験したことなので、あながち気のせいばかりとも思えないのです。
今でも、あの水音とベッドの足元あたりを何度も往復していた引きずるような重い足音はいったい何だったのだろう、と思います。
また、同じときに隣のベッドで妻が金縛りにあっていたということも……
[この怪談は…ここまで……です…]