【怪談祭り2022】みなさんからの投稿~沖縄での体験~「私達以外の誰かが一緒にいる」~(7月26日)[No.041]
沖縄での体験
投稿者:おらんだにさん
投稿日:7月24日(日)
ベトナム戦争の最も有名な写真、『ナパーム弾に焼かれて裸で逃げる少女の写真』を見て、急に沖縄での体験を思い出しました。
ウクライナ紛争真っ最中の現在、自分達の国で起こった戦争の惨事を忘れるな、というお告げのような気がして投稿します。
今から30年以上前の話。当時は学校で働いていました。
教職員組合の先輩の呼びかけで、沖縄を訪問しました。現地の教員の方に案内していただき、数日かけて那覇市内の戦跡を回りました。
ひめゆり部隊の生存者の方のお話を伺った後、女子学生が自決した場である荒崎海岸に私達も行きました。
彼女達は裸足で逃げて来たそうです。荒崎、という名の通り、溶岩質の刺々しい岩盤が露出した黒い海岸です。そこは素足で歩けるような場所ではありませんでした。
こんな場所で亡くなったのか。どんなに苦しくつらく、怖かっただろうと思うと今でも涙が出てしまうのです。
また、避難壕になっていた暗い洞窟『ガマ』の奥まで懐中電灯を持って入り、灯りを消して黙祷しました。
真っ暗闇の中に、水の流れる音がひたひたと響くのを聴きながら、私達以外の誰かが一緒にいるのをありありと感じました。
宿舎は公営施設の最上階で、80畳位あるスペースの一部を仕切って借り、男女別に寝るのです。
でも、一瞬ひとりになった時に、冷やっとした感覚を覚えました。
更に、ふすまのずっと向こうのエアコンから、なんともいえない暗い雰囲気が流れて来るのです。
ガマを訪問した晩はなかなか眠れませんでした。寝苦しく、襖の向こうの気配もいっそう気になりました。
寝返りを打つと、私の指先が少し隣の先輩に当たりました。その瞬間。先輩が「ヒッ」と小さく叫んで飛び起きたのです。
私も心臓が止まるほどビックリ。実は先輩もまったく眠れず、ずっと昼間のガマの事を考えていたそうで…。
後日、私が暗い風が流れてくると感じた先に、沖縄戦の犠牲者の位牌を納めた仏壇がある事を教えていただきました。
後日談もあります。
沖縄から東京に帰り、友達に沖縄での出来事を語っている時に友人が言いにくそうに言うのです。
「あのさ、今、部屋の電灯がいつもより暗いんだけど…」
「えっ…!?」
「電灯の紐も勝手に揺れてるんだけど……」
[この怪談は…ここまで……です…]