【阪神・淡路大震災から30年】ボクたちが学ぶべきこと~都市直下型地震の怖さ~
今から30年前の「1995年1月17日 5時46分」に発生
今から30年前の1995年1月17日の早朝(5時46分頃)、兵庫県南部を震源とするM7.3 最大震度7の阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)が発生しました。
この大地震によって、6434名の犠牲者・2名の行方不明者・43792名の負傷者が出てしまった未曾有の大被害となりました。
阪神・淡路大震災は「都市直下型地震(としちょっかがたじしん)」というタイプの大地震でした。
都市直下型地震の怖さ
直下型の地震では津波は発生しませんが、直下が震源となるため、揺れの到達が非常に早く、緊急地震速報とほぼ同時、またはもっと早くに揺れが襲ってくるために身構えることができません。
まず始めに上下に震動する縦揺れが発生し、建物に大きなダメージを与えます。その後、激しい横揺れも襲ってきます。
激しい縦揺れと横揺れによって、建物の最重要部材である基礎・土台や柱にダメージが蓄積され、最悪の場合は建物が完全に倒壊してしまいます。
そして、耐震性を高めて設計されているマンション、戸建て住宅でも縦揺れに弱い場合があり、半壊もしくは倒壊してしまう可能性があります。
高層ビルなどでは免震構造の建物も多く、免震は水平方向の揺れ(横揺れ)に対応する構造のため、縦揺れには弱いという特徴があります。
また、最初の揺れで見た目上は壊れなかったとしてもダメージは蓄積されるため、続く余震によって半壊や全壊、そして倒壊レベルまでダメージが達することがあります。
阪神淡路大震災での死因は、主に建物の倒壊による「圧迫死」でした。
先述したように、激しい揺れによって1階部分の土台・柱がダメージを負い、それにより建物の重量を支えきれなくなり、上階部分が落ちてきて1階に居た人たちが犠牲になってしまいました。
特に、古い戸建て住宅では1階部分も2階部分も潰れてしまったようです。
阪神淡路大震災では戸建て住宅だけでなく、鉄筋コンクリートのビルや高速道路も倒壊しました。
これは建設当初に想定されていた耐震基準が、縦揺れへの耐久を考慮していなかったために、倒壊・崩壊したと言われています。
では、阪神淡路大震災を教訓にして施行された耐震基準で設計された建物は絶対に大丈夫なのかと言うとそうではないのが現実です。
ボクは仕事柄、これまで多くの構造設計士の方と会いましたが、多くの方が「実際に地震が来てみないと分からない」と言っています。
実際、昨年(2024年)の1月1日に発生した能登半島地震(M7.6 震度7)では、※新耐震基準で建てられた家屋が多数倒壊しています。
※新耐震基準…1981年施行。震度6強~7の激震でも建物が倒壊や崩壊しないこと性能を基準としている。
また、2016年に発生した熊本地震(M7.3 震度7)でも同様に、新耐震基準で建てられた建物が多数倒壊しました。
残念ながら、絶対に100パーセント完璧に安全な建物というのは存在しないというのが現実です。
地震直後に多発的に発生した火災
阪神淡路大震災では、住宅が燃えるなどの火災も至るところで発生しました。
次のニュース記事に阪神淡路大震災で起きた「火災の原因」が書いてありました。
・時間差が怖い「通電火災」とは 阪神淡路大震災から学ぶ
1995年に発生した阪神淡路大震災では、古い耐震基準だった建物の倒壊、室内の家具の転倒に加え、火災の被害が目立ちました。
なぜ火災が起きたのか?それは「通電火災」が原因だったと言われます。
大地震が発生すると、広範囲で停電が発生する可能性があります。その後、電気が復旧した際に地震で倒れていたり、家具の下敷きになっていた電気製品が再び作動。
しかし、ブレーカーを落とさずに外へ避難していると、復旧し再作動した電化製品が火元となって火災が起こることがあります。これが「通電火災」です。
・火災の6割が通電火災だった
この通電火災の危険性が明らかになったのは、阪神淡路大震災の時でした。原因が特定された建物火災の約6割が、通電火災だったといわれます。
なお東日本大震災でも火災の過半数が電気関係の火災と言われます。
通電火災が怖いのが、時間差で発生するため発見が遅れることです。地震発生とともに出火したらば、人が対応できるのですが、避難し無人となったあとに電気が復旧し、出火する事が多いのです。
これにより発見、消火が遅れ、揺れで散乱した室内の物に引火。あっという間に火災が拡大してしまうのです。
さらに冬場は、ヒーターやストーブなど熱源となる家電を使う時期のため、リスクが他の季節よりも高くなります。
・対策はたったひとつ
元を断つ。電気が復旧しても、通電しないように「ブレーカー」をおとして避難すれば通電火災は防げます。
「ブレーカーを落として避難をする」これはとても重要なことだと気付かされました。
ガスやストーブなどが消えていることを確認するのは当然ですが、ブレーカーも落とさなければいけないということを知らない人は多いと思います。
ただ、激しい揺れに襲われて動揺し、ブレーカーのことを忘れて外部へ避難してしまうケースも多くなると思います。
そういう時のために、大きい揺れを感知すると自動的にブレーカーを落としてくれるグッズもたくさん売っているので、設置の検討をなさってはいかがでしょうか。
ボクたちにできること
毎年、震災が起きた日には関連ニュースが流れますが、その都度、色々と大切なことに気付かされます。
そして、いつ都市直下型地震が起きてもおかしくはないと言われている場所が、首都 東京を中心とした関東です。
高層ビル群の倒壊や住宅密集地での地震火災など、阪神淡路大震災を遥かに超える甚大な被害が出ることは容易に想像ができます。
犠牲者数2万人以上、建物の全壊が60万棟以上、避難生活を余儀なくされる方が700万人以上にも上るという試算が出ています。
また、南海トラフ巨大地震の発生危険度も非常に高く、「今後30年間で80%以上」の発生確率となっており、これは「本当にいつ起こってもおかしくはない」ということを示しています。
昨年(2024年)の8月には南海トラフ巨大地震の引き金となる恐れがある日向灘でM7.1 震度6弱の大地震が発生し、今年の1月13日には同じく日向灘でM6.6 震度5弱の強い地震も発生しました。
ですから、本当に南海トラフ巨大地震の発生が刻一刻と迫っていると受け止めて、備えておく必要があります。
ボクたちにできることは、過去から学び、それを将来のために生かすことです。
今一度、「水や非常食の備蓄量は十分か」「非常持出袋の中身」「避難経路の確認」「タンス等の家具固定」などをチェックして、防災意識を高めて暮らすことを習慣付けておいていただきたいと思います。
最後になりましたが、30年前の阪神・淡路大震災で犠牲になられた方々のご冥福を祈るとともに、震災によって大切な人を失ってしまったご家族の悲しみが、少しでも癒えるように心から願っています。
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