【怪談祭り2023】みなさんからの投稿~『池』~後篇~(7月27日)[No.016]
『池』~後篇~
投稿者:小百合さん
投稿日:7月26日(水)
レオ様こんばんは。掲載有難うございます。続きをお話させてください。
お祓いが終わって家に帰って少し疲れていたので夕食の時間まで寝ることにしました。
あれはたしか夕方4時くらいでした。
外から消防車の音が聞こえてきて、わたしは目を覚ましました。
窓をあけて外を見たら火事になっているお宅があって煙が見えました。家事になっていたお宅は池の横の道からすぐ近くに建っていました。
火はすぐに消されたみたいで、家の台所が燃えただけですんでケガ人はいませんでした。
住人のお話では、火事になる直前に玄関の呼び鈴が鳴ってドアを開けると、笠をかぶった修行僧のような男の人が立っていて、御用をたずねると「水をわけてください」と言ったそうです。
そして水を注ぐために台所へいったら台所が燃えていて、あわてて消防車を呼んで外に逃げたら、男の人は消えていなくなっていたそうです。
このお話を聞いて、わたしは嫌な予感がしました。
お祓いはうまくいかなかったんじゃないかと…
その翌日のことです。
町内会長のところに電話がありました。お祓いの最中で暴れていた男の人がいなくなったと。
ホテルに泊まって、翌朝に男の人がいなくなっていたことに気づいたみたいです。
当時は携帯電話やパソコンはない時代です。男の人に連絡はとれないので、町内会やお祓いに参加した人たちで捜索が始まりました。わたしは学校があったので参加していません。
ホテルの辺り一帯や駅の周辺を捜索しても見つからず、警察に捜索をお願いしたほうがいいという意見もあったそうですが、大事にはしたくないということだったので、町の人たちで捜索を続けることになりました。
その翌日に、お祓いをしてくれた住職は京都に戻ることになって、付きそいの3人のうち2人が現地に残って捜索を続けることになりました。
捜索の範囲を広げても男の人の行方はわからなかったそうです。
そして、お祓いをやってもらった池や周りも捜索してみようということになりました。
池には清掃用具などを入れてあった小さい倉庫がありました。
その倉庫の手前に、行方不明の男の人が履いていた草履が並べておいてあったそうです。
倉庫には鍵がかかっていて開けることはできないはずでしたが、一応中を見てみようということになって、管理人に鍵を持ってきてもらって扉を開けたら行方不明の男の人が中にいたそうです。
丈夫な南京錠で鍵がかけられてましたし倉庫には窓はないので、どうやって男の人が中に入ったのか誰にもわかりませんでした。
男の人は上半身裸で、自分で身体をかきむしったみたいで傷だらけだったそうです。
意識はあったみたいですが病院にいって治療をしてもらいました。
そして、お祓いのときに男の人の左手の指がぐにゃりと折れ曲がっていたのに、手は何もなかったように治っていたそうです。
でも男の人と意思疎通することは難しくなっていて、現地に残っていた付きそいの人たちに連れられて京都へと戻っていきました。
付きそいの人たちが帰ってから数日後のことです。
火事になったお宅の近所で住人が亡くなりました。死因は溺死でした。お風呂で溺死していたそうです。
お風呂の中には長いツタが沈んでいて遺体に絡みついていたという話でした。
池の周りで不吉なことが続いたので、お祓いをしてくれた住職に事の次第を伝えるために町内会長が電話をすると、住職は京都に戻った後に心臓発作をおこして入院をしていました。
軽度の心臓発作で命に別状はなかったみたいですが高齢なのでしばらく入院して様子をみることになったそうです。
池の周りでおきている不吉なことを付きそいの人に話すと「住職と相談します」と伝えられて、付きそいの人からの連絡を待つことになりました。
そして、一時行方不明になった男の人は京都に帰ってから正気に戻って、行方不明になった時の話を聞いても覚えていなくて記憶がないということでした。
電話をしてから数日後に町内会長に連絡がありました。
住職の話では、お祓いをして池に憑依していた霊を成仏させることはできたが、池の近くに呪詛のような術を使える人がいて、その人が別の霊を呼び寄せたり、池の周りに災いをおこしているのではないかという話でした。
そして、お祓いをしたときに集まった人たちのなかに、呪詛を使っている人物もいたはずということでした。
付きそいの男の人がおかしくなったのは呪詛をかけられたせいだったみたいです。
お祓いのときに集まったのは20人くらいで、そのうちのほとんど顔をあわせたら挨拶してくれる顔なじみでしたから、あの中に呪詛を使っている人がいるなんて信じられませんでした。(みんな普通のいい人たちでした。思い当たる人はひとりもいません。)
そして、住職の話では呪詛を使っている人物をさがしだして、止めさせないと災いは続くことになるだろうという話でした。
それから町内会議があって、住職の話が町内会員に伝えられたんですけど、わたし思ったんです。
町内会員の中に呪詛を使っている人物がいて、会議に参加していたら何かやるんじゃないかって…。
そして町内会議で決まったことは、毎日池の見回りを交代でおこなって事故を防ぐことと年に1回お祓いをしてもらうことでした。
わたしは大学進学で家を離れたんですが、それまでに池で水難事故はなかったけど池の横の道では事故が続いて、池の近くに住む人が亡くなったり行方不明になったりして恐かったです。
以上です。話をうまくまとめられなくてすいません。
わたしは大人になってからも恐い?不思議な?体験を度々してるので、またお話させてください。
不思議探偵社の更新がんばってください。応援しています。
(レオコメ)
小百合さんの体験談、メチャクチャ怖いっ(汗)戦慄ものですっっっ
話をまとめると、池には霊がいて、それが水難事故とか交通事故を引き起こしていた。
で、その霊は、呪詛を操る人物が呼び寄せていた。
お祓いによって池にいた霊はいなくなったが、呪詛使いが新たに霊を呼び寄せた。
その霊が、お祓い後も周辺地域に災いをもたらしていた。
こんな感じでしょうか……
確かに、日本・海外問わずに呪詛使いはいるようですが、この話に出てくる呪詛使いはとんでもない強大な力を持っていると言えます。
もちろん、事故を引き起こす霊は怖いですが、霊よりも怖いのは人間だったということになりそうです……
で、あくまでボクの推測ですが…、ここからはあくまでボクの推測です。
呪詛を操っていたのって、池の管理人さんという可能性があるのではないでしょうか??
呪詛をかけられて暴れていた男性が見つかった場所は、カギがかけられていた倉庫ということなので、何の目的があったのかは定かではありませんが、男性を倉庫に閉じ込めることが出来たのは、カギを持っていた管理人さんということになります。
もちろん、カギを保管していた人が他にいれば、この説の信憑性は低くなります。
いずれにしても、倉庫のカギを持っている人物が呪詛使いという可能性が一番高いような気がします。
もしくは、呪詛使いが単独犯ではなく、協力者がいるとしたら、カギを持っている人物が手助けしていたのかも知れません。
呪詛ですぐに思い浮かぶのが陰陽師です。最も有名な陰陽師である安倍晴明(あべのせいめい)をご存じの方も多いと思います。
もしかすると、呪詛使いは陰陽師の末裔とかで、先祖代々から続く恨みを晴らすために復讐として災いをもたらしていたのかも知れません。
それから、池から聞こえてきた太鼓の音や、火事になる直前に水を求めてやってきて姿を消した修行僧とか、溺死した方に絡みついていたというツタは一体何だったのか、色んな謎が残る実話怪談だと思います。
小百合さん、他にも体験談があるということなので、是非、ご投稿してください。ドキドキしながらお待ちしています……。
[この怪談は…ここまで……です…]