【怪談祭り2022】プレイバック編~時計~(8月24日)[No.088]
時 計
投稿者:まやおあさん
投稿日:2020年8月19日(水)
はじめまして。私の不思議体験を投稿させてください。
今から二十数年前の春に義淑父が亡くなりました。まだ学生だった私が、知らせを聞いて当時叔父夫婦が住んでいた繁華街にあるマンションを訪ねた時、ちょうど義叔父が病院から自宅へ戻り、その身体を清めているところでした。
室内は両家の親族が20人近くおり、こんな時ですがガヤガヤしていました。
そのあと亡き骸を近所の葬祭場へ運び、私たちも移動しました。
翌日の葬式の後のことです。
叔母が自宅へ取りに行きたいものがあるけど喪主なので席を外すことができず、私に取ってきてと頼んできました。
繁華街を抜けて預かった鍵でマンションの玄関ドアを開けるとしーんと静まり返っていました。外はガヤガヤ、昨日はあんなに賑やかだっただけにここだけ静かで少し不気味でした。
廊下の突き当りがリビングとダイニングで扉は閉まっていました。
叔母のほしいものはリビングにあるのでその扉を開けると、いきなり頭上でカチッカチッと時計の針の音が聞こえました。
その空間で聞こえたのはそれだけで、あまりに大きな音で「ヒャァ」と、びっくりしました。
しかしとにかく急いでいたので、時計が壁にかかってるのをちらっと見た程度でそこまで気に留めず、叔母に頼まれていたものを探してマンションをあとにしました。
葬祭場に戻ったときに「叔母ちゃんちの時計うるさいねー」と、頼まれものを渡しながら言ったところ、叔母が「なんの時計?」と聞き返してきました。
私「リビングのドアの上の壁にかけてる時計」と続けると、叔母「あの時計、もう長いこと動いてないよ…」
二人で苦笑いするしかありませんでした。
[この怪談は…ここまで……です…]