【怪談祭り2022】みなさんからの投稿~憑依~「呼ばれた…」~(7月25日)[No.040]
憑依
投稿者:えーちさん
投稿日:7月21日(木)
忙しい日々が続きこんばんは。いつもありがとうございます。今回は、何度か投稿させて頂いて来た体験談とは少し違う…と言うか説明が難しいのですが、本当に怖いのは霊では無くて簡単に憑依されてしまい、本来の人格が180度豹変してしまう生きている人の方なのでは?と思ってしまったお話です。
例え日常的な事だとしてもこんな事は通常ではあまり起きないだろう…そんな出来事に遭遇した場合、必ずと言っていいほど『呼ばれた…』と解釈しています。
その様な出来事は今までも沢山あったのですが、このお話はその中でも特にそう思ったお話になります。
15年以上前になると思いますが、今は離婚している元夫が車通勤途中の通い慣れた道で、歩道の縁石を乗り上げ民家の庭と歩道との仕切り壁に衝突してその壁を壊してしまった時のお話です。
その日は雨が降っていたのですが、出勤後しばらくして夫から電話がありました。
夫の話では、事故を起こした後、その家のチャイムを何度も鳴らしたのですが留守みたい。とりあえずどうしても一度会社に行かなくてはならないので迎えに来て欲しいと。
慌てて迎えに行き、とりあえず夫を会社に送り、その足で菓子折りを買い直ぐにその家に戻り、謝罪と弁償のお話をさせて貰おうとチャイムを鳴らすと、年配の男性が対応してくれました。
事の成り行きを説明するとその男性は「中に入って」と言って、何かを取りに行かれました。
玄関の土間に入ると、田舎なので間口は広く奥には広い廊下がありました。雨の日だったからかはわかりませんが廊下は何故かとても薄暗かったです。
男性が戻ってからは、元夫に対するお叱りを受けました。私は只々謝ることしか出来ませんでした。
すると、男性は写真屋さんで無料で貰えるフォトブックに入った写真を何枚も見せてきました。
それを見て驚いたのですが、夫の車が壁に衝突している写真が何枚もその家の二階の窓から撮影されていました。
しばらく状況を把握できないでいると男性は、夫の住所と名前と電話番号を書いてと言ってメモとペンを私に渡しました。
夫が全面的に悪い事は勿論わかっていましたが、「壁にぶつかっていたのに、もしかしたら怪我をしているとかは思われなかったんですか?」と聞くと、「証拠を残す為に写真を撮っていたら、その内に車の中の人が動くのが見えたから見に行かなかった」と言っていました。
「夫は何度もチャイムを鳴らしましたがどうして対応して頂けなかったのですか?」と聞いても何も答えては貰えませんでした。
そして、私が夫を迎えに来たのを見てから写真を現像しに行って来たと言っていました。
勿論夫が全面的に悪いのですが、その男性の奇妙な言葉や行動に少し怖くなってきました。
男性に再度連絡先を書いてと言われたので書こうとしたのですが、手が震え声も上擦り、その男性の声も何か違う空間から聞こえてくる様な遠い感じでした。
その時は玄関の空間も歪んでる気がして、とてもまともに立っている事も出来ず、下駄箱に体を預けながら何とかメモを書きました。
男性の奥の薄暗い廊下にも何とか意識を向けると、そこにはその広い廊下一杯に大勢の落武者が立っているイメージが。
早くこの家から出なきゃと思い、震える手を押さえながらメモを書き終え何とかその場を後にする事が出来ました。
気持ちが落ち着いてから夫に電話をして経緯を伝えて「凄く怒っていたからもう一度ちゃんと直接謝罪に行ってきて」と伝えました。
後で聞いたのですが、夫は先に男性に電話で謝罪して今からそちらに直接謝罪にと伝えたらその男性は、「もう奥さんが丁寧に謝罪をしてくれたので弁償さえして貰えれば良いですよ」と言われたから家には行かなかったと。
そしてとても穏やかな男性で笑いながら世間話もしたと。
とても信じられませんでしたが、その後の夫の一言で腑に落ちました。
『呼ばれた…』んだと。
その男性が言うには、家を新築して住み始めてからまだ日は浅いし、壁の所はカーブとはいえ見通しのいい緩やかなカーブ。なのに縁石を乗り上げ壁を壊されたのは夫で3回目だと。
私が話をした男性は一体誰だったのでしょうか?それとも夫が話をしたのが本来の男性だったのでしょうか?
私が話をしたのがその男性の本当の姿だったのでしょうか?
その男性のその後がどうなったのか今となっては確かめようもありません。とてもその家を見に行く気にはなれませんし。
そこは戦国時代に敵に攻められた城があった山の麓にあり、落城した際には沢山の兵士や城の人々が落ち延び自害して果てたとの話があり、その慰霊碑が年月が経ち朽ち果てて分からなくなってしまっている土地に家を建てて落武者の霊を見たとの実話も聞いた事があります。
落城〜の話を打ち込んでいる今この時になり、とても悲しみに満ちた鳥肌が届いて来ています。
自害して果てたその場所に知らずにその家を建ててしまったのでしょう。そして今…再度伝わってきた感情としてはやはりその様です。
『公になる…』
それだけで浮かばれる霊たちはまだまだ沢山いると思います。
『どうか安らかに…』
読んで下さってありがとうございました。
[この怪談は…ここまで……です…]