【怪談祭り2022】みなさんからの投稿~茶托~「ホテル旅館に宿泊した時のお話です」~(7月19日)[No.030]
2022/07/21
茶托
投稿者:えーちさん
投稿日:7月17日(日)
もう10年近く前になりますが、県内のホテル旅館に宿泊した時のお話です。
家からあまり遠くない所なので移動費もガソリン代以外は掛からないので、その分豪華にと思い露天風呂付きの客室に泊まりました。
部屋は一階にあり、海に近くて露天風呂からは海が見えるお部屋でした。
バリアフリー仕様になっていて、ツインベッドとリビング的な所には丈夫な衝立の様な間仕切りがあるワンフロアーでした。
夜中にベッドで寝ていると衝立の向こうから物音がして、「もしかしたらここは一階だし、露天風呂を出る時に部屋側に通じるドアの鍵を閉め忘れたかも?」と不安になりました。
財布などはリビングに置いてありましたから、「泥棒?」と思ったけど、連れに「幽霊の時は起こさないで」と言われていたので少し様子を伺っていました。
やはり霊だった様で鳥肌がして来ました。
私が感じる鳥肌には種類が色々あるとこの前の投稿でもお話しさせて頂きましたが、この霊も只々その場に来ているだけと言う感じで危険な感じは全くありませんでした。
やはり霊なので連れは起こさず、気配が消えるまでと思いそのまま様子を伺っていました。
そしたら、何か総入れ歯の人が餡子の入った和菓子を食べる時に歯にくっ付く様な音が聞こえて来ました。
旅館に泊まると2個ぐらい茶菓子とかが置いてありますよね。それを食べてるのかな?と思い更に聞き耳を立てていると、今度は湯呑みに入れた熱いお茶を飲む様な音と『あ〜』と、とてもとても満足げな声が聞こえて来ました。
その後、茶托に湯呑みを置く時のカチャッという音も聞こえて来て、とてもリアルでした。
この前の投稿でも書きましたが、私は現実世界では視覚【霊の姿】だけは捉えられません。なので、姿に関しては夢の中では無くて、起きている時は脳裏に浮かぶ映像やイメージで姿は捉えています。
総入れ歯の年配の男性でした。バリアフリー仕様だと言うこともありやはり年配の宿泊客が多いのかもしれません。
生前この部屋に宿泊された事があり、楽しかった思い出に浸っていたのかもしれません。
その後、間もなくして霊の気配が消えたのでリビングに行ってみると、私はある事に気付きました。
部屋の和菓子は私が食べていたので茶菓子はテーブルには何も無い状態でした。お茶も飲んであったので空の湯呑みがあるだけでした。それにその部屋には湯呑みだけで、何故か茶托は置いてありませんでした。
もしかしたら、他の方から「茶托が無いのに茶托に湯呑みを置く様な音がする…」とかフロントに伝言でもあったのでしょうか?
真相は分かりませんが。その霊が宿泊した頃はまだ部屋に茶托が置いてあったのかもしれませんね。
私はその後テーブルの上を片付け、熱いお茶を新たに入れ直しお線香も焚きました(旅行に行く時はいつも持って行くので)
「安らかに…」との思いを込めて…。
読んで下さってありがとうございました。
[この怪談は…ここまで……です…]