【怪談祭り2022】プレイバック編~「絶対に後ろを振り返ってはいけない、振り返ったら二度と帰れなくなる」~(7月15日)[No.020]
「絶対に後ろを振り返ってはいけない、振り返ったら二度と帰れなくなる」
投稿者:ちるちるさん
投稿日:2019年7月30日(火)
今から25年前、私が高校生の頃の話です。
私の実家のすぐ近くには、都内でもかなり大きい方の公園があるのですが、そこには昔お城があり、戦に敗れた城主とその娘や沢山の家臣たちが池に身投げしたとされる場所です。
その公園の、その池のすぐそばの一角に一際薄暗い場所があるのですが、そこはタクシーの運転手さん達が幽霊を降ろしたと噂する有名な場所です。
女性のお客さんがその場所に差し掛かると、突然「ここで良いです」と言うので、車を止めて後ろを振り向くと、女性は消えていて座席がびっしょりと濡れていると言う話です。
当時、私は学校帰りに普段は通らないその道を暗い時間にたまたま自転車で通りかかりました。
あまりにも暗く不気味な雰囲気に、その怪談話をふと思い出した時、言い伝えが残るその池を何となく見てしまったのです。
すると、電灯などもなく真っ暗なはずの湖面一面に、数え切れないほどの無数の火の玉が揺らめいているのです。
私は思わずその場に固まり、目の前に広がる光景が現実のものとは思えない感覚に陥りました。
すると、今度は私の右耳のすぐ後ろ、本当に耳のすぐ至近距離から、小さな女の子の声で「○○ちゃーーーん!」と聞こえて来たのです。
私は全身に、一気に鳥肌が立つ恐怖に襲われ、泣きながら自転車を飛ばして帰りました。
その時、直感的に絶対に後ろを振り返ってはいけない、振り返ったら二度と帰れなくなると思っていました。
その公園を抜けると、急に空気が軽くなり、助かったのだと分かりました。
無数の火の玉は、池に身投げした沢山の家臣達や城主と娘の物だったのでしょうか。そして、あの声は?
[この怪談は…ここまで……です…]