【怪談祭り2021】みなさんからの投稿~鏡~「あれから25年、夏になると思い出す」~(8月5日)[No.025]
鏡
投稿者:ジョニーさん
投稿日:7月31日(土)
あれから25年、夏になると思い出す。
1日目
嫌な夢を見た。真っ暗な中で何かに追われている。寝汗がひどかった。
2日目
同じ夢を見た。怖い。何かあると思った。
3日目
同じ夢を見た。朝早い仕事だった。
午前3時頃、コーヒーを飲みながら聞いていたラジオの音が突然、大きくなった。
インジケーターがどんどん上がっていく。ボタンを押しても止められない。無理やりコンセントを抜いた。夏なのに寒気がした。何かが聞こえた。
4日目
同じ夢を見た。何かに引きずり込まれるようだった。暗い。
目が覚める直前に
という低い不気味な声が聞こえた。
目覚めた。オーケストラの音合わせみたいな何か大きな音が頭の中で響いた。
当時、寝ていた布団の横に1,5m四方の鏡が2枚並べて置いていた。以前の職場で壁に貼って使っていたのを貰ったものだった。それは3枚1組の2枚だった。
その日の朝、表を合わせるようにしてガムテープでぐるぐる巻きにして捨てた。夢はその日が最後になった。
1週間後、友人が来た。以前の職場のオーナーの娘さんが亡くなったと彼から聞いた。
家業の手伝いばかりで結婚もできなかったが、なんとか趣味でオートバイのツーリングを始めた。1か月半くらい前に彼女は高速道路で事故をした。転倒してトレーラーに巻き込まれてしまった。
その話を聞いた時、あの夢の理由が分かった。3枚の鏡の残り1枚が彼女の部屋に置かれていたことを思い出した。
あの大きな音はその瞬間、彼女が聞いた最後の音だったのだろうか。
私は、彼女のことが好きだった…。
[この怪談は…ここまで……です…]