【怪談祭り2020】みなさんからの投稿~『カンカン、カンカン』~(8月14日)[No.042]
『カンカン、カンカン』
投稿者:はゆさん
投稿日:8月12日(水)
今でもたまに思い出しては不思議に思う十数年前の出来事です。
夜22時頃の仕事帰りに、実家マンションの一階でエレベーターを1人で待っていました。
エレベーターの左横は厚い壁があり、壁の向こうは螺旋階段状の非常階段がありました。
なかなか降りて来ないエレベーターを待っていると、階段の方からステンレス製の手摺りに金属の棒を打ち付けるような『カンカン』という音が聞こえてきました。
その金属音は少し遠くから『カンカン、カンカン』と一定間隔で響いており「誰か傘の柄でも叩きながら降りてきてるのかな、遭遇したくないなあ…」と不快な気持ちで壁に隠れるようにして(階段の方を見ないように)エレベーターを待っていました。
ようやく来たエレベーターに乗り込んで自分の階ボタンと「閉」ボタンを押し、ドアが閉まろうとする様子を見ていると…
エレベーターを待つ側の「↑」ボタンを押そうとするスッと伸びてくる細い手指が見えました。
普段なら誰か乗りたい人が来られたら、咄嗟に「開」ボタンを押して同乗してもらうのですが、その時は必死に「閉」ボタンを連打して、ドアが閉じるとホッとしている自分がいました。
ただドアが締まるまでの一瞬の出来事ですが、何度思い返してもエレベーターの「↑」ボタンを押そうとしていた手が誰だったのか気になっています。
エレベーターを待っていた時は他に人がやってくる様子は無く、階段で金属音を鳴らしていた人ならば階段を駆け下りる音やエレベーターへ駆け込もうとする気配があるはずですから。
あの時、いつも通りに「開」ボタンを押していたら誰がいたのだろうか…と、過ぎてしまったことを何度も考えてしまいます。
その後、同じような金属音がすると不思議な体験をすることがありましたが、、、それはまたいつかの機会に。
[この怪談は…ここまで……です…]