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【不思議体験記】プレイバック編~見知らぬおじさん~(3月2日)[No.0135]

見知らぬおじさん

男性の写真

投稿者:ヨウコさん
投稿日:2017年1月7日(土)

今から20年以上も前の話しです。私が小学生だった頃の事です。

当時の私は身体が弱くて、事あるごとに風邪等で良く学校を休んでいました。その日も中耳炎の治療の為、下校後に耳鼻科へ向かいます。

ここで当時の駅周辺の説明をしたいと思います。

場所はとても田舎だったので、耳鼻科へ向かうにはバスを乗り継いで行かなければいけませんでした。

最寄り駅までは子供の足では40分程掛かる距離にあるので一旦バスで駅まで向かい、そこから耳鼻科近くのバス停まで乗って行く感じです。

その頃は駅まで行くと少し先にバスターミナルの待合室があって、屋根付きの大きな場所で、蕎麦つゆのいい匂いがした場所でした。

それから当時、私の両親は共働きをしておりました。

話を戻します。

その日の治療後、いつもの様にバスに乗って帰ります。帰りのバスはバスターミナルが終点になっていて、家へ向かうバスはもう出ていなかった記憶があります。

治療が終わったら自宅にいる母に電話をして、母が自転車で迎えに来てくれるといった感じでした。今の様に携帯がない時代ですので、母が仕事を終えて自宅に帰る頃、ちょうど私の治療も終わってる時間になっていましたのでそこでやり取りをしました。

バスターミナルに着くと雨が降って来ました。

通ってた時、雨が降った事が殆どありませんでしたが、母に電話すると「迎えに行くから待ってなさい」といつもの様に言います。

母は待ってなさいと言うけど、陽は傾き、辺りは暗くなって雨も降って来て、そのせいか何故かいつもの光景とは全く違って見えました。そのいつもと違う光景が心細さに更に拍車をかけたのを覚えています。

子供の感性がそうしたのだと思いますが、違って見える光景が嫌で、とにかく早く家に帰りたくて帰りたくて仕方がありませんでした。

そして、どうしても心細くてその場に居ることが出来なくて、とうとう「一人で家に帰ろう!」と決めたのです。

幸い雨は降り始めたばかりで雨足も強くありません。バスターミナルから家まではずっと真っ直ぐいくだけです。

道路は片側一車線の道路。母が自転車に乗っているなら必ずスレ違うはず。『いつも来てる道。大丈夫。』自分に言い聞かせて走り出しました。

すると、『待ちなさい!!』タイミング良く後ろから男の人の声がします。

それでも走り出そうとした時、今度は『止まりなさい!!』

「えっ?私のこと?」止まって振り返るとスーツを着た男の人が傘をさして立っています。

『入りなさい。』

どうやら私に傘の中に入る様に言ってます。私は人に対して自分の意思をハッキリ言える子ではありませんでしたが、この時はハッキリと断りました。

そしてまた走り出そうとしたら『いいから入りなさい』

語尾が強く勢いのある口調と気迫にビックリしてしまい、しぶしぶ傘の中に入りました。

男の人(おじさん)が言うには『自分も同じ方向だから、近くまで傘に入りなさい。って事でした。

知らない人と一緒に行くのは何かあったら大変な事になる。でも、どうも悪い人ではないと子供の直感で感じていたのは不思議です。

それでも念の為、おじさんとのやり取りは派出所の前、踏み切りを越えた先には酒屋があって、その先に食堂があって、また歩くと違う食堂があって、食堂を過ぎて少し歩くと個人のスーパーがあってと、今はない個人のお店が等間隔に点在していましたので、何かあった場合は直ぐに駆け込める様にと思っていました。

私は男の人の腰位の背丈でした。歩きながら最初の会話以外は全くありませんでした。男の人の革靴と自分の靴、そして濡れてる道路を見ながら歩きます。

「母とスレ違うはず」

そう思って行き交う人や自転車に乗ってる人を何度も確認してましたが母は見当たりません。

会話もなくずっと歩いていると、ようやくやっと向こうに家が見えて来ました!嬉しかったです。

ここでおじさんにその旨を伝えてもう一人で大丈夫だと伝えようとした所、男の人の歩いてた足がピタリと止まり、『おじさんはここまでだけどもう大丈夫だね。』そう言って左側にある砂利道の方向へ行きました。

お礼もそこそこでしたので、おじさんが歩いて行った所を直ぐに見渡しましたがおじさんの姿はもうありませんでした。

当時おじさんが歩いて行っただろうその道は砂利道が真っ直ぐになってる道で両脇は田んぼでした。周りに家はありません。

なので、おじさんと別れて直ぐにその道を見ると、おじさんの姿がない事にとても不思議でしたが、とにかく急いで家に帰りました。

母は私が帰って来て少ししたら帰って来ました。家に帰ると、一人で勝手に帰って来た事をとても叱られました。

母は私とスレ違う道路を何度も通ったけど、私の事は見掛けなかったと話していました。不思議ですが、私も母もお互いに見掛けなかったのです。

今でも思うのですが、あの場で姿が見えなくなってしまったあのおじさんは一体誰だったのだろうと今でも思います。

 

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