【怪談祭り2019】みなさんからの投稿～バックミラーに映ったパジャマ姿の女の子～(7月30日)[No.0003]

スクールバスの運転士をしていた頃(15年前)の話。

朝、バスを開けると…パタパタパタ…小さな足音が聞こえる。

「誰かいる？」

いるはずはない、早朝だ。

その内その足音が聞こえる曜日が判明した。木曜日だ。

その内なれてきて…パタパタパタ…「あぁ、今日は木曜日だったな」と思うようになってきた。

ある日、いつもように送迎を開始した。

「今日は男の子だけか」

バス内にはビデオをつけていた。

「きゃっきゃっきゃ！」ん？女の子いたか？いや、いないよな…

え〜と、次は○○病院前か、50m手前にパジャマ姿の女の子がうずくまって泣いている。

「叱られたのかな？」

近づいていくと、丸まった背中に添ってスーっと女の子の姿は消えてゆき、一本のすすきの葉っぱになった。

「なんかイヤなもの見たな…」

○○病院前にて停車、出発時に左のバックミラーを見ると、消えたはずのパジャマ姿の女の子が映っていた。

そして立ち上がり、「バイバイ」と手を振った。

確信した。あの子は病院に入院していて木曜日にこのバスを見ていたんだ。

身体が治ったらあのバスに乗るんだって密かに決めていたんだろう。

パタパタパタ…

「おはよう！」

私は木曜日に挨拶をするようになった。